巻の二

 サテ大紅姑娘の噂が飛び交う中、子ども達の間で大人気のテレビ番組もまた、ゴッコ遊びの定番なのであった。
 集まった面々は吊るされた草履の間を駆け抜けて、棒ッきれでチャンバラをやるのである。哀れな敵に容赦ない「さつりくかめん」は非常に強い棒ッきれを持っているというお話。
「お前ら全員、八つ裂きだッ」
 ひとり子どもたちの中に混じっているのが次郎であった。次郎が不良になったのではない。さつりくかめんは、そういう野蛮なことを言うので、一部保護者には反感を買う。しかし子どもはその位の方が好きらしい。
 旗の少女、喜んで逃げ回る紙袋を見てひとり突っ立っていたが、思わず手が出る。
「痛い! マスク女、駄目だぞ、さつりくかめんは無敵なんだ」
「御免御免。あんた見てると茶々を入れたくなる」
 紙袋もやられ役ではあるが、キャッキャと笑い、手を叩いて喜ぶ。この遊びは大抵じゃんけんで主役が決まるのだ。ときに早い者勝ちや、アミダクジなこともある。
 一方豆腐屋寅吉と、犬伏令嬢のお菊は、社の縁に腰掛けて、その様子を見ている。豆腐屋は首を傾げて訝しげに。
「サ……、さつりくかめん?」
「なんだア、白いの、知らないのか」
「知らないな。ボク、テレビ、見ないんだ。坊ちゃんや、奥さんは、見てるようだけど」
 それから肩を竦め。
「平民は野蛮だから困るわネ、あたくしこんな昼下がりは野蛮よりお茶がしたいワ。パラソルでも開いて……」
「ウーン、悪いな、ほうじ茶しかないんだよ」
 次郎が困ったように眉を下げると、同じく座っていたお菊は眉を顰めた。
「アラ、ほうじ茶しかなくて悪かったわネ」
「別に悪かないけど、でも、優雅さに欠けるわ。お紅茶はないの」
「あるわけないでしょう? ふざけないでよ」
「お嬢、どうどう」
 さつりくかめん役もお菊を相手にすると控え役である。フト、旗の少女はある場所へ紙袋を偵察に行かせた。柱時計の処である。


「エエト、それで、きみは、お母さんが未だ生きているッて、云うんだネ」
 所変わってデイゴ宅、柱時計はゴッコ遊びの最中で来たもので、頭には夜店で引っ掛かっていそうなプラスチックのお面がついているのだった。
 彼が頷くと、その邪悪なお面も同じように頭を垂れる。
「きみがソウ云うのなら、ソウなのかも知れない」
「ドロテーちゃんが、あんたは何かに取り憑かれてるから見て貰えって」
「みてもらえ、って、僕ア医者ぢゃないんでネエ。僕には、その頭の、おかしなお面が、取り憑いてるようにしか見えないんだけどなア」
「コレですか、コレはさつりくかめんの敵なんです。魔界の王様の、第六王子で、後に権力を握る第二王子と同じ母を持つ実弟なんです。でも、後に、仲違いをしてしまうんですけど。僕はじゃんけんは無しで、いつも敵のお面。そういう決まりなんです」
 デイゴは面白そうに、快活に笑い飛ばした。デイゴ宅にもテレビはあった。板間だけの、打ち抜きの部屋の隅に、小さな黒いのがひとつ。それで少しは、その特撮を識っていた。
 彼は立ち上がって柱時計少年の周りを優雅にてくてくと歩きながら。
「この町はネ、不思議な町なのサ。それこそ大昔から、不思議なことバカリ起こるのサ。だから僕なんかはネ、余計頼りにされるけど……ま、先代よりは随分気楽なもんさネ」
「ソ、それで、僕はドウしたら良いのですか。僕はこれが大切なんだけど、みんなソレを判ってくれないんだ」
「そりゃ、きみが、大切にするからだろう!」
「メチャクチャなこと云うなあ」
 柱時計、スッカリ困り顔。そこへ偵察に来た紙袋がぱたぱたと玄関口に現れて、玄関框へ膝を突いた。
「デイゴさま、悪霊取れた?」
「いんや。だって、時計に触らせてくれないんだもの」
 ふと目配せしたデイゴの視線の先には、板間へ置かれた柱時計がある。此処まで背負ってくるために、紐で結わえられた柱時計である。
 一方の柱時計少年は、伏し目がちにデイゴの方を見。
「悪霊だなんて……僕の母ですよ」
「アハハハ、失敬失敬。イヤ、悪いものかどうかは僕もまだ判らないんだ。人間と同じことだヨ」
「僕はヘンなことを云っているのでしょうか」
「至極真っ当さ」
 靴を脱いだ紙袋、ふたりのもとへ座り込む。
「真っ当、真っ当、大いに結構、うふふ、アハハ、時計にレースでもつけてあげたらもっと可愛い!」
「や、やめてッたら、妙なことしないでくれよ」
 デイゴの方でも首を突っ込む気配なし、柱時計少年の方でも首を突っ込ませる気配なし、柱時計の怨念はただ針の音と共にギョロギョロと眼球を動かしているのであった。


「お前ら、情けないぞ! そんな生半可な掛け声で敵が怯むもんか」
 所変わって鵺鳥神社、神社を挟んで二股の道の、上の方から、若い男の声がした。マントを翻し下駄をカンカラいわせて現れた少年はギロリと行儀悪そうな視線を一同へ投げる。
「いいか、腹から声を出せ。主張ってのはなア、声のデカイ奴が勝ちなんだ。それにこんな弱ッちい木の枝を振り回したって、駄目さ。ゲバ棒宜しく角材でも持って来な」
「ア、お前、見たことある、なんだッけ」
 次郎は暫くポカンとしていたが、少年を指差し、すっ呆けた顔して尋ねるのだ。
「見たことある、だッて? フン、そうさ! 俺はな、お前らバカな日本人の日常に浸透する、絶対的暴力さ! 酒のように、煙草のように、覚醒剤のように、ハルシオンのように、恋のように、お前達の人生を浸食してやるんだ!」
 旗の少女、感心したように拍手。
「絶対的暴力、いいわ、絶対的暴力、ステキ」
「鉄鎚だ! 鉄鎚! さアお前達、鉄鎚を各々その手に持て!」
 子どもたちとまぎれた大人はギャアギャアと騒いで遊んでいたが、さあ歸ろうかというときになって、謎の少年が俳優の相良忠吉だということに気が付くのだった。かの番組「さつりくかめん」の主演である。少年はカンカラカンカラと下駄を鳴らして、夕焼けの町へと消えていった。






 少年は、遠いところで生まれた。父親はパリの郵政で働く役員で、母親は貞淑な美しい女であった。その頃は、少年は小さかったので、あまり記憶にない。ある日父親が病で急死すると、日本人妻の母親は追い立てられるように日本へ帰国させられることとなった。このとき少年は、五歳になるかならないかの歳だった。
 二人の日本の住まいには、フランスの、美しい宮殿のポスターがあった。母親は、この優雅で美しい国に憧れて、日本を出たのだ。
 不幸とは続くもので、母親は強盗殺人により急逝することとなる。このとき彼は十歳。町内の豆腐屋栄田に引き取られ、今が今まで、居候の身で生きて来たのだった。
「これ、ルネに返しといて」
 ある朝、デイゴは、軍服の豆腐屋に、立派なミュールを手渡した。
「ルネ? 誰です、それは」
「ハハハ、まアいいから、持ッといてヨ」
 豆腐屋は渋い顔をして、去るデイゴを見守った。デイゴが豆腐を買いに来たついでのことだった。
 彼は、豆腐屋の主人から貰った二階の小部屋に、知らぬ間に化粧道具や女物の衣服が増えていることに、並々ならぬ恐怖感を抱いている。というのも、この家の誰も、それらが何処からやってきたものか知らないのである。胸騒ぎと、変な感じがおさまらない日々。最早、何者かが、自分の頭を乗っ取りつつあることは明白だった。
 トボトボ、河川敷を歩いていると、豆腐屋は何処からか聞こえる声に気付いた。
「おい、白いの!」
 見れば次郎が手招きしている。その隣には、相変わらず物騒な目付きをした相良忠吉がいて。
 ……近付いてみれば、どうやら土肌に、枝で落書きしているようだった。
「敵のアジトを図解しているんだ。俺様はいつでも奴らを抹殺することができるが、それもつまらない」
「相良さん、次郎さんに悪い遊びを教えるのは良くないよ」
「悪い遊びだッて?」
 相良は口角を上げ、その顔に不気味な笑いを浮かべる。
「世の中には、悪い遊びしかないのサ。良い遊びなンてエのは、存在し得ない」
「それにしたッて、次郎さんが真似しちゃ困るよ」
「真似? こいつア、俺よかヨッポド、冷酷さ。親を殺してるンだぜ」
「なんだッて?」
「さすがの俺様も、親ア殺そうなんて思ったことは、ねエからなア」
 話題の次郎は、地面に絵を描いていたが、その言葉にフト顔を上げて、相良がするように口角を上げるのだった。それは何処か恐ろしげな、それでいて無邪気な子どものような笑みである。カエルの足を引き千切るかのような、トンボの羽根を毟り取るかのような、蟻の巣に水を流し込むかのような……そんな……そんな……表情である。
 二人して、再び悪い遊びを始めた。誘われたが、豆腐屋は断って、もとの道に戻った。


「そうね、あんた、自分ではルネッて言ってたわ」
 鵺鳥神社。
 旗の少女は、紙袋の少女と、柱時計少年と三人で、いつものように話し込んでいる様子。
「ルネ……」
「トラちゃん、これルネちゃんに返しといてよ」
「今度はパーティバッグ? 今朝、デイゴさまからもミュールを預かったんだ……」
 紙袋の少女、小振りな鞄を豆腐屋に渡す。夜会にでも出るかのような、そんな形の鞄だ。
 豆腐屋少年はスッカリ判らなくなって、社の前へ腰掛けた。
「きみが気にならないんなら、気にしなくたッていいんじゃないかな」
「気になるさ! 篠辺、お前、知らない服や靴が部屋にドッサリあったら、気になるだろう?」
「そうだけど……」
「こんな、知らな……、……?」
「どうしたの?」
 豆腐屋は視線を下げてその鞄を見た。ト、今度は言葉を切って、それを眺めるのだった。まるでツチノコでも見たかのように、ただ目を見開いた。
 ──……そうしていたかと思えば、急に立ち上がって、駆け出すのだった。
 豆腐屋は自室に戻り、タンスを開けた。その中の小さな箱を引っ張り出せば、確かにそこから、鞄が取り出されたのだということが判った。他の箱も開けてみた。そこにはミュールが入っていた筈だった。
「なんだ……なんだ……知らないものじゃなかった……初めから知っていたものだ……」
 ルネは知らぬ間に、このタンスの奥から、母親の形見を引っ張り出したらしかった。少年は壁に掛けられた、形見のポスターを見て、遠い国へ想いを馳せた。


 社の裏にいたらしいお絹は、ヒョッコリ頭を出す。
「栄田さんッて、本当は、エドガーッていうお名前なんですッて」
「わあ、お絹ちゃん、そんなところにいたの!」
 紙袋は驚いて言った。
「素敵よね」
 豆腐屋が走っていった方を、ウットリとした表情で眺めながら、お絹は呟いて。自分の世界に浸るのだッた。まるで少女漫画の登場人物のように……。






 彼女は、むかし、花に話しかけているときがあった。誰も知らない私の心を、神様の代弁として、聞いてくれていると思っていた。初めて花を買ってみたのは小学生の頃、親には二度とするなと叱られた。浪費が癖になるといけない、父はそう思ったのかも知れない。
 一輪のガーベラ、花弁はいつか崩れ、茎に幾つか引っ付いているだけになった。新聞に包んで棄てられた。花の……花の匂いは一種独特で、彼女はそれからも花の虜であった。
「ねエ、私惚れッぽいんだッて、お母さまに言われるの」
 居間で彼女は花器に花を生けていた。花器の中、水に浸し、花切狭でチョンと茎の先を切る。水の上を、切り落とされた茎がプカプカ浮いている……。
 その隣で、次郎に腕を噛み付かれたお菊は、何の遠慮もない力でその頭を打った。その音は部屋にバシリと響いた。
「あたしもそう思う」
「そう? ぢゃ、ヤッパリそうなのかしら」
「あんたを見てると、いつの間にやら連れ去られて、異国の悪い店へ売られてくンぢゃないかッて、思ッちゃうわ」
「まさか、そんなことないわ」
 絹の言葉を聞いたお菊、ひとつ笑って。
「説得力がない!」
 そのまんま、次郎を引き摺って、自室へ戻ってしまった。
 残された絹は、まず長い葉を手に取る。剣山の端へ、斜めに挿して、次にその反対側へ挿した。今度は花を出に取り、真ん中へ二本、長さを変えて、それから一番短いのを手前に挿した。残りの花材を見参の空いたところへ、要らない部分を切り切りしながら、スッスと生けていく。
 それを指先でチョイチョイ触って、気が済んだら、そうっと持ち上げて玄関口へ飾った。運ぶ間に少し倒れたのを生け直し、それで一仕事済んだのだった。
 明日は母がお茶会をするというので、お絹は座布団の数をヒイ、フウ、と数える。足りない分を襖から引っ張り出し、これが終わったら参考書を開くのだ。
「あの紫は……お池のかきつばた……一つ橋渡れ、二つ橋渡れ……」
 少しだけ、好きな詩を読んだ。詩集はたくさん持っている。


 お絹はソウして、いい子をし、澄ましている女だ。ところがどの女よりも豪胆なところもある。
 学校で禁止されている映画館へ行って、不良とつるんだこともあった。食べかすを床へ放り投げ、クラブのように騒ぎ、煙草を吸い、酒を呑んだこともあった。お絹は政治家の娘なので、よくない友人は何でも欲しがった。お絹はくだらないと思いながら、二つ返事で応じた。あるとき、面倒くさいワ、という気持ちが上回って、吊し上げられても平気なものだった。
「お菊、学校はなくてもお勉強はしないと駄目よ。次郎さんみたいに困るわよ」
「あんたは、これが困ッてるように見えるの?」
 ある夕方。学校をやめた菊とは違い、お絹は優等生でいることもお手の物。小言もお手の物だ。寝そべる次郎の背にのしかかッて遊んでいたお菊、次郎の髪を散々引っ張りながら云う。
「どうかしら、でもいずれ困るわ」
「いずれ、ですッて、直ちに影響は無い! 人体に直ちに影響は無い! ウフフ」
「でも、そういうところ、お菊の可愛いところよネ」
「そうでしょう」
 お転婆お菊、ニタッと笑う。
「案山子、案山子、田の案山子、山で生まれて山で死ぬ、お前は海が見たかろう……」
 それからお絹の詩集を引ッ手繰って、上機嫌で読み上げた。






 鏡台に掛けられた布をソッと取る。
 そして、自分の貌を見る。
 少年は自分の貌をアンマリまじまじと見たことがなかった。繊細の色の髪の毛を見るのが、アマリ好きではなかった。
 ジッとその貌を見る。
 自分の中にいる少女は、どんな気持ちで、この鏡の前に居ただろう。ボクの貌を……見ただろうか……?
 彼は、フト、そのような些細なことが気になって、スツールに座った。そしておかみさんの紅を手に取った。
 蓋を開けてその色を見る。赤い。真っ赤だ。ポッカリひらいた口の中に赤がある。
 尋常ではなく震える手でその底を回す。真っ赤な棒が頭を出してスラスラと伸びていく。扇情的な赤、戦場的な赤、……怪しく光るその筒から淫靡な赤が伸びてくる。
 ……彼の指は傍目に見て判るほどに震えていた。
 鏡の中の自分とみつめあう。鏡の中の自分の指もひどく震えていて、「怖いんだな」と思ッた。自分に睨まれている気がした。
 赤の切っ先を、先端を……アタマを、己の唇へ押し当てようとしたとき。
「──トラ兄ちゃん、父ちゃんが呼んでるよ」
 階下から聴こえてきた子供の声にハッとして、紅を取り落とした。鏡台に転がる筒。
「い……いま、……いま行きます……」
 ヤットのことで絞り出した自分の声も驚くほどに震えており、しかしその一線を超えたくない気もしなかった。






 マックラな夜道に明かりが灯る。その明かりに虫が飛ぶ。夥しい蛾などが、光のまわりを、チラチラときたなく飛んでいる……。
 デイゴはその、明かりの袂へ座り込んで、爛れた色のスカートから足を投げ出し、プワプワとシャボン玉を吹いている。虫が寄るのも気に止めないで、光から闇へと消えていく玉を、ぼうっとして見ている。もし人が通れば、権威ある祈祷師とは思われず、商売女が酔って座り込んでいるように見えただろう。
 仕事帰りの紙袋少女は、闇夜では素の顔で、またそれを特別隠しもしせず、その彼女は光の足元に少年を見付けた。それと同時に、シャボン玉も見付けた。
「ア、デイゴさま、いま帰り?」
 夜道には素ッ頓狂にも思えるほどの声音で、真正面へ座り込む。
「いんや……今日はネ、ズットこうしてるンだ」
「シャボン玉で遊んでるの?」
「そう……」
「ねエそれ、あたしもやっていい?」
「どうぞ」
 少年は化粧で真ッ赤な唇から、シャボン玉の棒を取り出し、そのまま少女へと渡す。
 当の少女も気にしないで、少し紅の移った棒を、咥えた。プワプワと飛ぶシャボン玉。すぐそこまで飛び、パンと霧散する。
「これねエ、菊絵さんがネ、くれたンだよ。次郎から取り上げたんだッて。でもねエ、僕は、それが……僕から渡してやってくれッていう意味だッて、本当は識ってたンだ……」
「ふうん。でもあたしたちのオモチャになっちゃッたネ、うふふ……」
「そうさ」
 デイゴは紅の滲んだ口角をユックリと上げて笑う。それから、ポケットを漁ッて、タバコを見付けると、火を点けた。少女はそれを見、似たようなニンマリした笑顔をして、今度はドカリと隣に座り込む。
「いる?」
「欲しいなア」
「あげる」
 二人して悪い顔をしている……。デイゴは少女に一本あげて、かちりとライターを点けた。デイゴとは対照的にあどけなさをそのままにした少女の唇が火に近付いて、その先端を燃やす。
 シャボン玉、煙に代わる。
 夜道の二人は悪友であった。少年は売女じみた変装をして、夜の道を歩くのが性癖だった。少女は根っからの売女であった。そうして母も売女であった。
 遠くで犬が遠吠えしている。
「丑三つ時だ……」
 何を見るでもなく、デイゴは呟いた。まだ残るタバコを地面で揉み消して……
「我有心采一朶戴…又怕看花的人儿要将我罵……」
「何か言った?」
「ううん……」